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ボルシチ

ロシア料理 ・ ボルシチ
世界三大スープのひとつ・ボルシチはフランス料理に影響を与えたロシア料理を代表するスープです。
甜菜の一種であるテーブルビート(ビーツ)で色づけられた独特の赤みと、炒めた具材の旨味が溶け込んだスープは身体の芯まで温まる美味しさです。
ボルシチ料理はウクライナ発祥のスープ料理でロシアやウクライナを代表する国民的料理です。その作り方は地方によりさまざまで、一般的に、シベリアやロシア北部のボルシチは素朴で、西と東へ行くほどに技巧的で繊細になると言われています。
かつて、ソ連時代にはボルシチ料理の作り方は50種類近くあると言われていました。材料の野菜は、基本的に玉ねぎ、じゃがいも、にんじんで、欠かせないのが生ビーツです。肉は牛、豚、鶏、マトンのいずれかを使用し、地方により食材や作り方もさまざまです。シベリアのように寒さの厳しいところでは、野菜はどれも大きく切り、スープも冷めないように壷のような厚い器に盛り付け頂きますが、モスクワでは一口大に切った野菜と肉がスープ皿に入っています。
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人参倶楽部Yさん調理ボルシチ~ビーツを加えたら真っ赤なスープになりました。
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人参倶楽部Iさんが地元の農協で購入して来てくれたビーツを使って調理しました。

ビーツとは砂糖大根、赤大根、カエンサイ(火焔菜・日本名)、ガーデンビート(英名)、ビーツ、ウズマキダイコンとも言い、ほうれん草などと同じアカザ科で、地中海沿岸の原産です。
ロシア料理のボルシチに入っている赤い実のようなビーツは、この料理以外には日本人には馴染みの薄い野菜です。古代ローマ人は葉と根を食用にしていたと伝えられています。そこから地中海沿岸に広まり、現在のような赤いビーツは16世紀にドイツにおいて栽培されました。
ビーツは根がカブのように肥大し紅色で、輪切りにしますと美しい輪紋があります。日本には江戸時代の「大和本草」と言う書物にこの記載があり、この頃に渡来、また明治時代初期になって再渡来しましたが、何れも普及しませんでした。砂糖を採るシュガービート(甜菜)、葉を食べるリーフビート(フダンソウ)とは同種です。しかし現在、日本では長野県や北海道で栽培されています。夏から初秋が旬、主に缶詰めで利用します。

ビーツは、飲む輸血と言われるほど、リン、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、カリウム、が豊富で、同様にビタミンA、C、ナイアシン、ビオチン、そして食物繊維も豊富に含まれています。またビーツに含まれる鉄は、人工製剤の鉄より一層吸収、同化され易いものです。
ビーツの赤い色は、赤カブに含まれるアントシアニンではなく、植物性色素「ベタライン類」(betalains)に属する色素で、赤紫色のベタシアニンと黄色のベタキサンチンによるものだそうです。
同じ鮮やかな色からして赤カブ同様、アントシアニンがビーツにも含まれていると思い込んでいる方が多いようです。
アントシアニンとベタシアニンは共に赤色の植物色素ですが、全く異なる物質です。
ビーツに含まれる色素ベタシアニンには抗ヒスタミン効果があり、アレルギー疾患用食品として注目されています。またコレステロール低下作用や抗がん作用も明らかになり研究開発に力を入れています。主な効能として免疫力高める・肝臓、腸、腎臓の機能を刺激し解毒作用・整腸作用、便秘解消・貧血予防・抗酸化作用・発ガン予防効果があり、食物繊維に富む。
チェルノブイリ原発事故で被曝した方々は特にビーツを多く食べるように奨励されています。
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グルメゾン料理教室~2012年2月の献立

◇ロシア料理◇
 ボルシチ ・ オリヴィエサラダ ・ ブリヌィクレープ ・ ロシアンティー
   世界三大スープと称される家庭料理ボルシチの魅力について
   食べる輸血と言われるカエンサイ・ビーツの効能について

by grumaison | 2012-03-29 01:17 | 食材百科