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夏の前菜と松花堂弁当~4

夏の前菜と土用の丑に食べる鰻について~
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今年は土用の丑の日が7月26日の一日だけでした。
いつものように鰻を買って調理していましたら息子が、「どうして土用の丑の日って毎年変わるの?何で鰻を食べるようになったの?」と聞いてきたのです。
「それはね、昔の人が季節を割り振った陰暦でね立秋を迎える前の18日間を土用と決めて十二支で割り振った日なのよ。昔の人は年も日も時刻も数字ではなく、十二支の順に数えていたからよ。鰻を食べるのは一番暑い時期、夏バテしないように栄養をつける為よ」
我ながら良い答えを息子に出来たと思い得意になっていましたら、すかさず息子が…
「だったら鰻を食べるのは丑の日じゃなくてもいいじゃん。丑の日に食べると決めたのは誰なの?いつからなの?」
答えられない私に追い討ちを掛けるように息子が…
「なあんだ!お母さんも知らないんだ」
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鰻を温めなおすのに一番美味しい調理法は、お酒を振り掛けてフライパンで蒸し焼きにしてたれを絡めて頂くのがベストと思います。
電子レンジで温める、網で焼きなおす、蒸し器で蒸すと色々調理方法を変えてみましたが、フライパンでお酒を使って蒸し焼きにして温めるのが一番美味しいように思えます。

息子の質問をきっかけに土用の丑の日について早速、調べてみました。

土用の丑の日とは

万葉集、巻十六に~
「石麻呂に 吾物申す 夏痩せに よしと云う物ぞ うなぎ取り召せ」
                 大伴 家持
 
1000年も前から、夏ばてにはうなぎと言われていたようで、暑いときに食べると言うのはたぶん自然に生活の知恵として定着していたのでしょう。
まず土用とは
元々土旺用事と言ったものが省略されたもの。
昔々、世の中の全てが木火土金水の五つの組み合わせで成り立つという五行説を季節にも割り振ることを考えた人が居たみたいですが、昔も今も季節は「四季」で「五季」とはいいませんから、
木-春
火-夏
金-秋
水-冬
土-???
と割り振ったら「土」が余ってしまった。そこで、「土の性質は全ての季節に均等に存在する!」とこじつけて、各季節の最後の18~19日を「土用」としました。
(これで1年の日数が均等に五行に割り振られたことになります)。
今は土用というと夏だけですが本来は全ての季節に土用があります。 
土用は季節の最後に割り振られるので「土用の明け」は次の季節の始まる日の前日。
(夏土用は、立秋の前の日に終わる)。
異なる季節の間に「土用」を置くことで、消滅する古い季節とまだ、充分に成長していない新しい季節の性質を静かに交代させる働きをするそうです。

丑の日
丑の日の「丑」は十二支の「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」の丑です。
各土用の中で丑の日にあたる日が「土用丑の日」、一般的には「夏土用の最初の丑の日」に鰻屋の祭り「土用丑」と称して鰻を食べる日ということになっています。

西暦年   土用の入り  土用明け   丑の日    二の丑
2009年   7月19日   8月6日   7月19日   7月31日
2010年   7月20日   8月6日   7月26日
     
2011年   7月20日   8月7日   7月21日   8月2日
2012年   7月19日   8月6日   7月27日
2013年   7月19日   8月6日   7月22日   8月3日 
2014年   7月20日   8月6日   7月29日
2015年   7月20日   8月7日   7月24日   8月5日
 
2016年   7月19日   8月6日   7月30日
2017年   7月19日   8月6日   7月25日   8月6日
2018年   7月20日   8月6日   7月20日   8月1日
2019年   7月20日   8月7日   7月27日
2020年   7月19日   8月6日   7月21日   8月2日


土用丑の日とウナギ
夏の土用の時期は暑さが厳しく夏ばてをしやすい時期ですから、昔から「精の付くもの」を食べる習慣があり、土用蜆(しじみ)、土用餅、土用卵などの言葉が今も残っています。
また精の付くものとしては「ウナギ」も奈良時代頃から有名だったようで、土用ウナギという風に結びついたのでしょう。
今のように土用にウナギを食べる習慣が一般化したきっかけは幕末の万能学者として有名な平賀源内が、夏場にウナギが売れないので何とかしたいと近所のウナギ屋に相談され、「本日、土用丑の日」と書いた張り紙を張り出したところ、大繁盛したことがきっかけだと言われています。
丑とうなぎの「う」がいっしょだから??
丑の日とウナギの関係ですが、丑の日の「う」からこの日に「うのつくもの」を食べると病気にならないと言う迷信もあり、「ウナギ」もこれに合致した食べものであったのかも知れません。

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五行思想(ごぎょうしそう)または五行説(ごぎょうせつ)
古代中国に端を発する自然哲学の思想で、万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるという説である。
また、5種類の元素は『互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する』という考えが根底に存在する。
西洋の四大元素説(四元素説)と比較される思想である。
起源
五行思想は、戦国時代の陰陽家騶衍(すうえん。騶は{馬芻}。鄒衍と表記する場合もある,紀元前305年頃 - 紀元前240年頃)が理論づけたとされる。一説によると、元素を5つとしたのは、当時中国では5つの惑星が観測されていたためだという。
春秋戦国時代の末頃に陰陽思想と一体で扱われるようになり、陰陽五行説となった。
五行
木(木行)
木の花や葉が幹の上を覆っている立木が元となっていて、樹木の成長・発育する様子を表す。「春」の象徴。
火(火行)
光り煇く炎が元となっていて、火のような灼熱の性質を表す。「夏」の象徴。
土(土行)
植物の芽が地中から発芽する様子が元となっていて、万物を育成・保護する性質を表す。「季節の変わり目」の象徴。
金(金行)
土中に光り煇く鉱物・金属が元となっていて、金属のように冷徹・堅固・確実な性質を表す。収獲の季節「秋」の象徴。
水(水行)
泉から涌き出て流れる水が元となっていて、これを命の泉と考え、胎内と霊性を兼ね備える性質を表す。「冬」の象徴。
四季の変化は五行の推移によって起こると考えられた。また、方角・色など、あらゆる物に五行が配当されている。そこから、四季に対応する五行の色と四季を合わせて、青春、朱夏、白秋、玄冬といった言葉が生まれた。詩人、北原白秋の雅号は秋の白秋にちなんだものである。

by grumaison | 2010-08-15 17:45 | おもてなし料理